親子にそっと寄り添う保育士。歌とふれあいで「安心できる居場所」を– NPO法人ToriCote理事・石垣千賀子インタビュー

愛知県一宮市を拠点に、親子向けの文化イベントや国際交流事業を行うNPO法人ToriCote。

その活動の中で、親子イベントの企画やふれあい遊び、歌や読み聞かせなどを担当しているのが、理事の石垣千賀子です。

石垣は、現役の保育士として14年間保育の現場に立ちながら、SNSでの発信や地域イベントを通して、子育て中の家庭が安心してつながれる場所づくりを続けています。

保育園という日常の現場と、地域の親子イベントや文化活動。
その両方の経験を持つ彼女だからこそ見えてくる、子育て家庭のリアルな声や課題があります。

今回のインタビューでは、石垣のこれまでの活動の背景や、ToriCoteで実現したい未来について伺いました。

石垣千賀子 Chikako Ishigaki

保育士

愛知県一宮市出身。公立保育園での9年間勤務に加え、小規模保育所でのミドルリーダー・園長代理経験を含め、保育士歴14年。これまでに230名以上の乳幼児の成長に寄り添ってきた。
23年以上の合唱・音楽経験を活かし、「子どもたちが一流の音楽にもっと気軽に触れ合える社会にしたい」という想いから、0歳から聴くコンサートを企画・演出。地域の音楽家やアーティストとのコラボを通し、子育て中のママが抱える孤独感に寄り添い、社会と繋がるコミュニティ作りにも力を入れている。インスタグラムでは子育ての悩みに寄り添い、育児相談を受け付けるなど子育て家庭が笑顔になれるきっかけ作りに尽力している。

目次

音楽がつないだ「第3の居場所」

石垣さん(以下:ちーこさん)と一宮、そして音楽とのつながりについて教えてください。

石垣:私は、中学1年生の頃から一宮市のフォーラム21少年少女合唱団に所属し、合唱を続けてきました。現在もOGとして活動をサポートさせてもらっています。

学生時代の私にとって、この合唱団は家と学校以外の「第3の居場所」でした。学校とは違う人間関係の中で、自分らしくいられる場所があることは、とても大きな支えになっていたんです。

フォーラム21では、音楽を通した海外との交流も行っていて、高校生のときにはオーストラリアへ演奏旅行に行って、現地の合唱団の子どもたちと一緒に歌う機会がありました。

日本の歌を紹介したり、向こうの曲を教えてもらったり。言葉が完全に通じなくても、音楽を通して自然と心が通じ合う瞬間があったことをよく覚えています。

最近では、昨年韓国の合唱団との共演もありました!

こうしてさまざまな国や文化の人たちと音楽をするたびに、音楽には人と人をつなぐ力があると実感しています。

文化や言葉が違っても、一緒に歌うことで自然と距離が近くなる。その経験は、今のToriCoteの活動にもつながっていると感じています。

保育園の外へ活動を広げようと思った理由

ちーこさんは今も現役保育士としてお仕事されていますが、保育園の外で活動を始めようと思ったきっかけはありましたか。

石垣:保育園の現場って、実は外から見るよりも閉鎖的な環境なんです。実際、保護者の方も先生に聞きづらいことをたくさん抱えていらっしゃいます。

また、今はSNSで子育てに関する情報が簡単に手に入る時代ですが、情報が多すぎることで、かえって不安になってしまう方も少なくありません。

ママ目線の発信はとても大切だと思いますが、保育士として見ていると「少し危ないかもしれない」と感じる情報もあるのが現実です。

だからこそ、保育の専門的な視点から、発達の流れに合った子育ての考え方や、無理をしすぎない子育てのヒントを、もっと気軽に届けられる場所があったらいいなと、ずっと思っていました。

そこでSNS発信について学び始め、自分の思いを発信してみようと思ったことが活動のきっかけでした。

同時に、SNSだけではなく、リアルな場所でも親子が集まれる場があったらいいなと考えるようになりました。

歌ったり遊んだりしながら、親子が自然に交流できるようなイベントが、保育園の外にもあったらいいなと思ったんです。

そんなタイミングで袴田さんや川野さんと出会い、「一宮にも同じ思いを持っている人がいるんだ」と感じました。

そこから、子育て家庭が安心して集まれる場所をつくりたいという思いで、一緒にCocoro Family(ToriCoteの国際親子サポート事業)として活動を始めることになりました。

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ToriCoteで生まれた親子の新しい体験

ToriCoteのイベントでは、どのような体験を大切にされていますか

石垣:ToriCoteでは、親子が一緒に楽しみながら、日常ではなかなかできない体験をお届けすることを大切にしています。

例えば、ふれあい遊びや、音楽と合わせた絵本の読み聞かせ、食べられる絵の具や色のゼリーを使って思いきり遊ぶ感覚遊び、プロのインストラクターを交えた親子運動など、親子が一緒に体を動かしたり五感を使って楽しめるイベントなどをこれまで行ってきました。

感覚を育てる遊びって、子どもの発達にとても良い影響があると言われているものの、実際にどんな効果があるのかは、意外と知られていないんですよね。

イベントで実際に遊びながら、
「子どもってこんな反応をするんですね」
「子どもがこんなことできるんだって初めて知りました」
「家では見られない姿が見られました」
と保護者の方が驚かれている様子を見ると、「こういう体験の場って大切だな」と改めて感じます。

また、0〜2歳児向けに音楽付きで絵本の読み聞かせをしたとき、子どもたちがぐっと物語の世界に入り込んで、すごく集中して聞いてくれていたのも印象的でした。

保護者の方からも「こんなに集中して聞けるんですね!」と言っていただいて。

ToriCoteのイベントを通して、親子にとって日常ではなかなかできない文化体験を、少しずつ届けることができているのかなと感じています。

「泣いてもいい」親子で気軽に楽しめるコンサートづくり

これまでToriCoteで行ってきたイベントの中で、印象に残っていることはありますか。

石垣:特に心に残っているのは、2026年1月に開催したToriCote初のホール公演「つながるファミリーコンサート〜セーヌ川からはじまる、わたしの旅」です。

多くの子育て家庭にとって、コンサートやイベントへの参加は、実はとてもハードルの高いものです。

「泣いたらどうしよう」
「周りに迷惑をかけないかな」

そんな不安から、本当は行きたい場所を諦めてしまう方も少なくありません。
私自身も保育士として、そうした声をたくさん聞いてきました。

だからこそ、このコンサートでは「泣いてもいい、はしゃいでもいい」という空気を何よりも大切につくりました。

子どもは泣くのが当たり前ですし、動き回るのも自然なことです。

その姿を「困ること」として扱うのではなく、子どもがそのままでいられる空間をつくりたいという思いがずっとありました。

今回のようにプロの演奏家と一緒にコンサートをつくるのは初めてのことばかりで、本番直前まで不安でいっぱいでした。

でも当日、会場で子どもたちが自由に体を動かしたり、音楽に合わせて反応したりしている姿や、それを親御さんが安心した表情で見守っている様子を見たら本当に嬉しくて、感動して泣きそうになってしまいました。

また、このコンサートでは「セーヌ川からはじまる、わたしの旅」というテーマのもと、さまざまな文化や世界の広がりを感じてもらうことも大切にしました。

音楽や物語を通して、子どもたちが自然に異なる文化や世界に触れられるような時間になったらいいなと、袴田さんと何度も打ち合わせを重ねながら作り上げていった過程も印象的です。

コンサートのあとには、
「久しぶりに安心して音楽を楽しめました」
「子どもと一緒にこんな体験ができて嬉しかったです」
という声もいただきました。

この経験を通して改めて感じたのは、親子がそのままでいられる場所や、安心して人とつながれる場所が地域の中にあることの大切さです。

ToriCoteの活動を通して、これからもそんな「第3の居場所」を少しずつ広げていけたらと思っています。

ToriCoteで実現したい未来

これからToriCoteで実現したいことはなんですか?

石垣:子育て中は、どうしても孤独を感じやすい時期だと思います。でも、誰かと少し話をしたり、気持ちを共有したりするだけで、ほっとできることもありますよね。

だから、人と人をつないだり、地域の中で安心して交流できる場所をToriCoteメンバーで力を合わせてつくっていきたいと思っています。

私たちのイベントを通して、親同士が自然につながったり、「また会いたいね」と言い合える関係が生まれたり。そんな小さなつながりが少しずつ広がっていったら嬉しいです。

そして、そのつながりが地域の中だけにとどまらず、いつかさまざまな文化や世界ともつながっていくような活動になったらいいなと思っています!

読んでいる方へのメッセージ

最後に、ここまで読んでくださった方へのメッセージをお願いします!

石垣:これからも、子育て中の方が、安心して自分を出せる場所や、「私ひとりじゃないんだ」と思える場所をつくりたいと思っています。

子どもも大人も、そのままでいられる場所が地域の中にあることは、とても大切なことです。

ToriCoteが、みんなにとっての「第3の居場所」になれたら嬉しいですし、ここで出会った人たちのつながりが、また新しいコミュニティへと広がっていったらいいなと思っています。

ぜひお気軽にイベントに遊びにきてください!

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