【産後うつ体験談】「産後うつは特別な人だけのものじゃない」海外で孤独な子育てを経験した母親が伝えたいこと

皆さまこんにちは!NPO法人ToriCote代表の袴田美帆です。

私たちは、さまざまなルーツを持つ家族が安心して暮らせる地域づくりに貢献することを目指し、親子が健康で楽しく過ごせるための居場所づくりや交流活動を行っています。

その一方で、子育ての中で孤独や不安を抱え、助けを求められずに苦しんでいる保護者も少なくありません。
出産は幸せな出来事のはずなのに、なぜ涙が止まらなくなるのでしょうか。

ToriCote理事の川野利花子は、アメリカでの子育て中に産後うつを経験しました。

この記事では、川野の実体験をもとに、産後うつの実態や、孤立を防ぐために地域やコミュニティが果たせる役割について考えます。

目次

産後うつは誰にでも起こりうる

産後うつとは、出産後に強い気分の落ち込みや不安、興味や喜びの喪失、疲労感、不眠、自責感などが2週間以上続き、育児や日常生活に支障をきたす状態を指します。

改めて調べてみて驚いたのですが、日本では約7人に1人が産後うつを経験すると言われています。

発症しやすい時期は出産後1〜3か月頃とされていますが、実際には出産後数週間から1年以内であれば、誰にでも起こる可能性があるそうです。

川野

産後うつは決して特別なものではありません。
どれだけ子どもを愛していても、どれだけ育児を頑張っていても、心と身体が限界を迎えれば、誰にでも起こりうるものなのです。

アメリカで経験した、孤独な子育ての日々

ここからは、川野が実際に経験したアメリカでの子育てと、産後うつの日々について、本人の言葉でお話しします。


川野:私は、娘が生後9か月のとき、当時の夫が暮らしていたアメリカへ渡りました。

娘を日本で出産してから渡米するまでの間は、夫のビザ申請手続きの関係で、娘と私は日本の実家で生活していました。
睡眠不足の毎日ではありましたが、両親の支えがあり、前向きに子育てを続けることができていました。

そして、ようやくビザが取得でき、待ち望んでいた家族3人での新生活が始まることになりました。

「これからは家族みんなで協力しながら子育てをしていける」
そう信じてアメリカへ渡ったのです。

しかし、現実は私が思い描いていたものとは、大きく異なっていました。

夫は仕事を終えて帰宅すると、夕食を食べ、娘と少し遊び、時にはお風呂に入れた後、再び外出するようになりました。
どこへ行くのかを聞いても教えてもらえず、その生活は約2か月半続きました。

私が暮らしていた地域では、車がなければほとんど移動することができません。
日本のような公共交通機関もなく、私は毎日、娘と二人だけでアパートに取り残されていました。

授乳中だった娘は夜中に何度も目を覚まします。
さらに、上の階には大学生たちが住んでおり、深夜3時までパーティーの声や足音が響くこともありました。

慢性的な睡眠不足、慣れない異国での生活、そして誰にも頼れない孤独。
不安は少しずつ積み重なっていきました。

私は夫に「せめて別室でもいいから、家にいてほしい」と何度も伝えました。

しかし、その願いは受け入れられませんでした。

裏切られたような気持ち、見捨てられたような絶望感。
気づけば涙が止まらなくなり、過食と食欲不振を繰り返し、心も身体も限界に近づいていました。

「助けて」と言えない母親たち

親になると、小さな命を守ることに大きな責任が伴います。
自ら望んで母親になったのだから、頑張らなければならないという使命感を抱く方がほとんどでしょう。

しかし、その一方で、

・母親なのだから強くなければいけない
・弱音を吐いてはいけない
・心が弱っていることを人に言えない

と、自分自身を追い詰めてしまう人も少なくありません。

その結果、本当は助けを必要としていても、「助けて」と言うことをためらい、自分だけが頑張れていないように感じてしまうのです。

だからこそ、周囲が気づき、声をかけられる社会であることが大切なのだと思います。

産後うつを防ぐために、地域ができること

こうしてアメリカで限界を迎えた私は、娘を連れて日本へ帰国しました。

幸い、環境が大きく変わったことで、産後うつの症状は少しずつ改善していきました。
私を支えてくれたのは、家族や友人、セラピーだけではありません。

市が運営する子育て支援センターの存在も、大きな支えでした。

保育士の方々が顔を覚え、何気なく声をかけてくださる。
その何気ない会話が、どれほど心を救ってくれたかわかりません。

また、同じように子育てをしている親たちと出会い、悩みや苦労を共有できたことは、大きな安心感につながりました。

「日本には、こんなに温かい場所があるんだ。」
そう感じたことを、今でも鮮明に覚えています。

一方で、外国籍の保護者の方々が、言語の壁によって地域の情報にアクセスできず、孤立してしまう現状も知りました。

そこで、「自分たちにも何かできることがあるのではないか」と考え、代表の袴田とともに、市民活動団体(当時)Cocoro Familyを立ち上げました。

ToriCoteが目指す、多文化共生の居場所づくり

現在、Cocoro Familyは、NPO法人ToriCoteの活動の一部として運営されています。

私たちが目指しているのは、親子が安心して集い、楽しみながらつながることのできる居場所づくりです。

日本人のご家族はもちろん、外国籍のお父さん、お母さん、その子どもたちも、「地域の一員である」と感じられるコミュニティを育てていきたいと考えています。

これまでには

・音楽イベント
・親子フィットネス
・多言語での読み聞かせ
・抹茶や和菓子をはじめとする日本文化体験

など、さまざまな活動を行ってきました。

ローカルとグローバルをつなぐこと。
そして、親も子どもも孤立することなく、安心して過ごせる場所をつくること。

それが、私たちの願いです。
その願いを実現すべく、これからも多様な家族が笑顔で集えるコミュニティづくりを続けていきたいと思います。

まとめ|産後うつは「一人で頑張るもの」ではない

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
産後うつは、決して特別な人だけが経験するものではありません。

誰にでも起こりうるものだからこそ、家族や地域、コミュニティの支えが必要です。

「助けて」と言える環境をつくること。
そして、「大丈夫?」と声をかけ合える社会を育てること。

私たちToriCoteは、国籍や文化の違いを越えて、誰もが安心して子育てできる地域づくりに、これからも取り組んでまいります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次